調停条項で定めた面会交流の約束を守らない場合(相談例)

【相談例・夫側から】

妻と調停離婚した。

子の親権者は妻と定め、子供は妻と暮らすことになったが、月1回子供と面接(面会交流)できるように、調停条項で定めた。

妻は、この調停条項を守らず、子供に合わせてくれない。

【回答】

取り得る手段1 履行勧告

相手方が調停で決めた約束を守らないときに、家庭裁判所に対して履行勧告の申出をすると、家庭裁判所が相手方に取決めを守るように説得したり、勧告したりする制度。
履行勧告の手続に費用はかからないが,それでも義務者が勧告に応じない場合は強制力はない。

取り得る手段2 間接強制

 間接強制とは、取り決めを履行しない義務者に対し、履行しなければ金銭的制裁を課すことを警告した決定をすることで義務者に心理的圧迫を加え、自発的な義務履行を促す制度(強制執行の1つ)。
義務者は、「面会をさせる義務を1回不履行するごとに、4万円支払え」などと命じられることになる。
家庭裁判所に調停調書正本と送達証明を付して申し立てることになるが、認められない場合もある。

→許否の判断のポイント
(最高裁平成25年3月28日決定)
「非監護親と監護親との間で非監護親と子が面会交流をすることを定める調停が成立した場合において、調停調書に面会交流の日時又は頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえるときは、間接強制を許さない旨の合意が存在するなどの特段の事情がない限り、上記調停調書に基づき監護親に対し間接強制決定をすることができる」

 調停条項に、①各回の面会交流時間の長さや、子の引き渡し方法が具体的に定められていない、②「月1回程度」「月1回ないし2回」のように、日時頻度の定めが曖昧である場合、等は、間接強制が認められない可能性が強い。→面会交流の調停条項を定める段階で十分な注意が必要。

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