大阪府大阪市の民事 家事精通弁護士(慰謝料請求)

大阪府大阪市の民事 家事精通弁護士(慰謝料請求)

慰謝料とは

慰謝料とは、広く不法行為等に基づく金銭的損害賠償のうち、「人の精神的苦痛」に対するものをいいます。

精神的苦痛が生じる場面は極めて多いです。しかし、ここでは、主に離婚や不貞等の男女関係に基いて発生するものを取り上げます。

物が壊れたら修理できますし、人の場合でも怪我であれば直接的な治療が可能です。この場合は、修理費や治療費を損害として計上できます。しかし、精神的苦痛を直接的に癒やすのは難しいので、民法では、苦痛の程度を評価して、金銭的に賠償することで、精神的苦痛の補填をはかっています。

精神的苦痛を金銭で評価するのは難しい作業であり、他国の法制度と比較しても、評価の基準は様々です(よく、アメリカは高額である、などという話をお聞きになられたことがあると思います)。我が国では、各事案の類型により、判例が積み重ねられており、一応の「相場」のようなものが形成されています。

男女関係に関する慰謝料

不貞慰謝料

民法上、婚姻関係にある者は、配偶者以外の者と性的関係をもってはいけないという義務(古い言葉ですが貞操義務ということもあります。)を負っていて、その裏返しとして、夫婦以外の者が、夫婦の一方と性的関係を持つことは、他の配偶者が夫婦として有する権利を侵害することになります。そこで、この場合、不法行為に基づく損害賠償が発生します。

社会一般での「不倫」という言葉は、多義的であり、一般的には精神的なものも大きく含むのが通常ですが、民法上の不法行為が成立するためには、原則として「性的関係」が必要と考えて下さい。

不貞慰謝料(但し、それにより離婚に至っていない場合です。離婚に至った場合は、若干高額になるケース(平均200万円程度)が多いです。)の、我が国の判例の相場は、概ね50万円~150万円で、但し特殊事情により、さらに増額されるケースもあります。

金額を左右するポイントは、婚姻期間の長短と夫婦関係の状況、不貞行為の期間、頻度、回数、態様が重視されますが、資力や夫婦の子供の有無なども考慮されます。精神的苦痛の程度が大きくてPTSDなどの疾患を発症してしまった場合や、不貞側に子供ができたケースなどでは、高額になる傾向があります。

なお、「(離婚には至っていないが)夫婦関係が既に「実質的に破綻した後」の性交渉であるから責任はない」という抗弁(「既破綻の抗弁」と呼ぶことがあります。)が出ることがあり、事案によりこのような抗弁が認められているケースがあります。ただ、「実質的に破綻」というのは微妙な事実認定になり、「既に離婚調停が申したてられていた」場合のように、客観的に立証できることは少ないと言えます。

離婚慰謝料

夫婦が離婚に至った場合で、その原因がもっぱら夫婦の一方に帰責される場合、離婚慰謝料が認められます。「その原因がもっぱら夫婦の一方に帰責される場合」でわかりやすいのは、不貞、DVなどの、配偶者の一方の明らかな故意の不法行為が原因となって、離婚に至っているケースです。

誤解されている方も多い点ですが、「どちらから離婚を言い出したか」はほとんど関係ありません(但し、相手に全く落ち度がないのに離婚を強要するようなケース、程度が酷く「悪意の遺棄」に相当するようなケースは別です)。また、全ての離婚に慰謝料が発生するわけではなく、「性格の不一致」のような、いずれか一方のせいとは言い切れないケースでは、慰謝料は発生しないことも多いです。

離婚慰謝料は原則として、夫婦相互間の問題です。不貞相手に対して離婚慰謝料を請求できる場合はきわめて例外的です(但し、不貞相手に対して不貞慰謝料を請求することは可能であり、この場合、離婚に至っていることで慰謝料が高額になるのは上記のとおりです。)。

弁護士依頼上の注意点

不貞行為(性的関係を伴うもの)の存在内容については、原則として請求する側が立証しなければなりません。「もう相手が認めたから」と油断する方がおられますが、いざ争いが大きくなって調停や裁判になってくると、平気で前言を覆し、否認する方も少なくありません。このため事前の証拠の確保が大切になってきます。

証拠としてわかりやすいのは、旅行に行ったり、レジャーホテルに2人で出入りする場面の写真や動画です。あと内容によりますが、メール、LINEのやり取りも証拠として使える場合が多いです。

「不貞を認めた」内容の念書(夫婦間で今後の反省等のために作られたもの)等も使えなくはないですが、上述したとおり、不貞の内容により慰謝料の金額が変わりますので、もし作成させるのなら「不貞行為の期間、頻度、回数、態様」を明記しておくのがベターです。

これらの証拠は早期に保全しておくことが望ましいですが、保全の方法や、どんな証拠が使えるか、などについても有益なアドバイスが可能なので、請求を考える方は、お早めに弁護士にご相談下さい。

不貞慰謝料は、「最後の不貞行為のとき、またはそれを初めて知ったとき」から3年で消滅時効にかかります。離婚慰謝料は「離婚のとき」からです。

時効のリスクもありますので、お悩みの方は、お早めにご相談を。

最近の記事

PAGE TOP