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親権の帰属の判断基準(フレンドリーペアレントルール)

未成年子がいる状況で親が離婚する場合、親権者をいずれにするか定めなければなりません。
協議離婚はこれが決められないと届出できませんし、親権の帰属が対立したままだと離婚調停も成立しませんので、結局、審判、裁判により、親権の帰属も裁判所に決めてもらうことになってしまいます。

ところで、このような場合、裁判所は、どのような基準で親権の帰属を判断するのでしょうか。
民法はこの基準について明文で細かく定めているわけではなく、裁判例も、基本的には、「いずれが子の利益(福祉)に適うか」という大きな基準で判断されていますが、裁判例を詳しく分析すると、具体的には、 ① 監護の意欲、能力、環境、収入財産や健康状態といった親の事情、②子供の意思(特に子供が15歳以上の場合、その「陳述」を必ず聴取せねばならず、また相応に重視されているようです。)、などが判断要素になるほか、「現状に特に問題がなければ、その環境を変えない方がよい」と考える「継続性の原則」が重視されるケースが多くみられます。ただ、この継続性の原則に対しては、「最初に無理矢理にでも子供を奪って行き、既成事実を作った方が有利になる」等の批判もあります。

ところで、この点、最近注目されているのが、「親権者(かつ監護者)になった方が、そうでない方に対する面会交流等について、どの程度寛容で協力的か」という判断要素です。言い方を変えれば、 自分自身の相手に対する思いと冷静に切り離して、子どもに別居親の存在を肯定的に伝え、親子の交流についても寛大で促進的な方に、親権者としての適格性を認めようという考え方であり、「フレンドリーペアレントルール」と呼ばれることがあります。

この点興味深い裁判例があります。1審は「自分が親権者になれば、母親と子供との面会交流を年間100日認める」と主張した父親を親権者としたのに対し、控訴審が、基本的には継続性の原則を重視して、逆転して母親を親権者としたケースです(東京高裁平成29年1月26日判決)。
この東京高裁は、1審が重視したフレンドリーペアレントルール的な考え方に対し、「どの程度の頻度でどのような態様により相手方に子との面会交流を認める意向を有しているかは、親権者を定めるに当たり総合的に考慮すべき事情の一つであるが、父母の離婚後の非監護親との面会交流だけで子の健全な成育や子の利益が確保されるわけではないから、父母の面会交流についての意向だけで親権者を定めることは相当でなく、また、父母の面会交流についての意向が他の諸事情により重要性が高いとも言えない」と、とりたてては重視しない見解を示したのです。

父親側は最高裁に上告しており、最高裁の判断が待たれるところです。